濁流

気が向いたときにマジックのレビューします

Hydrangea Chitose Side by千歳


千歳さんはきれいで繊細なカードの扱いをするカーディシャンで、タッチ芸、良い意味でのちょろまかしムーブが特徴の、独特なカードマジックをします。私も彼のマジックにはかなり影響を受けていてあこがれているマジシャンの一人です。
実は地元が近い関係で、DVD発表前から何回かお会いして遊んでもらっています。なので、まあこのレビューが信用できるものかといわれると怪しい気もしますが、書きたいので書いていきます。


Oil and Water
ノンエキストラの水漏れ油漏れ。
ノンエキストラでこのプロットを考えるとどうしても2×2で混ぜるところが弱くなるように構成してしまいがちだが、カードを捨てるところで賢いムーブをし2×2の時にエキストラを作っています。最後のところも少しイロジカルなタッチ芸で解決しており見ていて気持ちのよい作品だと思います。

Collector
かなり変わっているコレクターズ
4枚のKの間にあれよあれよと選ばれた3枚のカードが挟まります。
賛否の分かれそうなマジックですか、私は大好きです。一つ一つの動作をじっくり見られると何も不思議にならないのですが、それらを同時にやることにより、脳の処理が追い付かず、キツネにつままれたような印象を受けます。これは千歳さんでないと作ることができない手品だと思います。頭の中どうなっているんやろか。ほんまに。

Grasshopper
グラスホッパーです。
傑作。実はこの手品、発表の2年前に直接教えてもらっているのですが、ついに発表されてしまいました。広まってしまうことを考えると少し残念。発売された直後、SNSの評価を見ると2段目があまりよろしくない(1段目、3段目に比べてということだと思いますが)という評価でした。確かにDVDの動画だとあまり生えてない気はします。ただこれは撮っている角度の問題かなあと思います。実際に見たとき、僕は2段目にもかなり衝撃を受けました。1段、2段、3段すべてがすごくて、間違いなく傑作です。

 

余談ですけど、グラスホッパーがプロットとしてとらえ始められたのっていつなんですかね。ぱっと調べた感じ、割と最近※な気がします。DVD『アリオス』がきっかけのような気もしますが、アリオスの少し後にMOさんも限定DVDでグラスホッパーを載せています。千歳さんのグラスホッパーも割と前からあるようですしひょっとしたら少し前に日本のアンダーグラウンドで流行っていたのかなあと妄想したりしています。

※前にも似たような現象は多々あるのですがグラスホッパーという名前で発表されているのはあまり見かけませんでした。

Quick Anti
直視されると少し厳しそう(そもそも現象が起こったミスディレクションでやる技法)ですがカウントを使わず、一発でアンチオイルアンドウォーター状態にできます。
Ascanio spread variation
アスカニオスプレッドのバリエーション。通常のアスカニオスプレッドと別の場所がダブルになります。そこをダブルにしたかった!と思うことが多い場所だと思うので割と使い道は多そうです。少しコツがいる場所があり、実はまだ安定してません練習しなくちゃ。。。

 

総評としては、まあ最新のカードマジックを学びたいのでしたらマストバイだと思います。特にグラスホッパーは傑作で、私もレパートリーに入れています。彼はまだまだすごいマジックを隠し持っているのでいつか発表してもらいたいですね。